認知症の方の相続放棄に関するQ&A

文責:所長 弁護士 水野高徳

最終更新日:2025年05月23日

Q相続人が認知症なのですが、家族が代わりに相続放棄できますか?

A

 ご家族であるというだけでは、認知症をもっている相続人に代わって相続放棄をすることはできません。

 認知症の方の代わりに相続放棄をする場合には、ご家族の方が認知症の方の成年後見人になる必要があります。

 もっとも、ご家族の方が成年後見人になる場合には、注意することがあります。

 認知症をもっている相続人が相続放棄をすることで、相続財産の取り分が増える方が成年後見人となる場合には、利益相反が生じるため、たとえ成年後見人となった後でも、代理人となることができません。

 この場合、成年後見監督人が選任されているときには、成年後見監督人が認知症の方の代理をし、成年後見監督人が選任されていないときは別途特別代理人を選任する必要があります。

Q故人に多額の借金があるのですが、認知症の相続人に相続放棄をさせるにはどうしたらよいですか?

A

 先ほどお話ししましたとおり、認知症をもっている相続人が相続放棄をするためには、前提として成年後見人を選任する必要があります。

 そして、成年後見人は、成年被後見人である認知症の方の財産を管理する義務を負っています。

 そのため、相続放棄をすることで、認知症の方の財産の減少を防ぐことができることを示す必要があります。

 そこで、被相続人の財産と借金の状況がわかる資料を用意し、財産よりも借金の方が多い(債務超過の状況にある)ことを確認したうえで、成年後見人が相続放棄をするかどうかを判断します。

Q相続放棄の期間内に成年後見人の選出ができないのですが、どうしたらよいですか?

A

 成年後見人が選任されてから3か月以内に、成年被後見人である認知症をもっている相続人の相続放棄をすれば問題ありません。

 成年後見人を選任するためには、認知症の方の診断書を取得したり、推定相続人の同意書を取得したうえで、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

 この手続きには通常数か月程度かかりますので、相続が開始してから成年後見人の選任手続きをしても、相続開始日から3か月以内に成年後見人を選任することは困難です。

 その間、認知症の方は、相続の開始があったことすら認識できない可能性があるため、相続放棄をすることはできません。

 それなのに、3か月以内に相続放棄をしなければならないとしたら、認知症の方にとって酷な結果となります。

 そのため、成年後見人が選任されてから3か月以内に相続放棄をすればよいことになっています。

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